QGPOPによるTAO IPv6モバイル実験のための 無線基地局ルータの設定マニュアル はじめに  QGPOPによるTAO IPv6モバイル実験のために、無線基地局の設定方法について述べる。対象となる無線基地局は、ROOTの無線基地局RGW2400/IDとRGW2400/ODのうち、2002年3月12日にリリースされたカーネルのものである。なお本文書における基地局や基地局ルータという語は、すべてここで対象とした無線基地局を意味する。また本文書におけるクライアントは、MISとLIN6方式でインターネットに接続できるモバイル端末を意味する。 目次 はじめに 1.設定者に有意義な情報 2. 基地局ルータの設定 2.1.1 IPv4を用いたインターネットに接続する基地局の設定 2.1.2 基地局ルータの初期状態 2.1.3 アドレスの準備 2.1.4 経路制御の設定 2.1.5 基地局用IPアドレスの設定 2.1.6 トンネルの設定 2.1.7 MISとLIN6の設定 2.2.1 IPv6を用いたインターネットに接続する基地局ルータの設定 2.2.2 基地局ルータの初期状態 2.2.3 アドレスの準備 2.2.4 経路制御の設定 2.2.5 基地局用IPアドレスの設定 2.2.6 MISとLIN6の設定 1.設定者に有意義な情報  基地局ルータのOSはNetBSDをもとに作られているため、このマニュアルに載っていないようなコマンドやその他についての詳しい情報はNetBSDのマニュアルやmanなどが参考になる。ただし基地局ルータは資源が少ないためmanは載っていない。バージョンは1.5.2であるが、これは基地局ルータ上でuname -vを実行すれば分かる。unameにより例えば次のような出力がでる。 #uname -v NetBSD 1.5.2 (MIS) #0: Tue Mar 5 23:03:27 JST 2002 masaki@happi.hirabaru.or g:/mis/misp-bsd/src/os/RGW-2.0.x/src/sys/arch/root_rgw/compile/MIS 2.基地局ルータの設定  基地局ルータの設定にあたって知っておくべきことを述べる。本実験では、IPv6を用いたインターネットに基地局ルータが接続され、このIPv6のインターネットへの接続をクライアントに提供する。例外ではあるが、基地局ルータをIPv4を用いたインターネットに接続することもできる。これはトンネリングという技術で基地局ルータがIPv4上でIPv6のインターネットに接続できるためである。補助的な位置づけとして、IPv4のインターネットに基地局ルータが接続される場合、このIPv4のインターネットへの接続をクライアントに提供することもできる。  以下、基地局ルータの設定について述べるが、上記のような異なる環境を次のように2つ分類して、それぞれについて設定方法を説明する。 2節 IPv4を用いたインターネットで基地局ルータを動作させる場合 3節 IPv6を用いたインターネットで基地局ルータを動作させる場合 2.1.1 IPv4を用いたインターネットで基地局ルータを動作させる場合  本節では、IPv4を用いたインターネットに基地局ルータを接続する場合の設定について述べる。ここでの設定は、QGPOPによるTAO IPv6モバイル実験のためのものであり、この設定うち、基地局ルータが接続するネットワークに関するところを変更すれば。QGPOPによるTAO IPv6実験の基地局ルータとして基地局が動作できる。  説明の便宜のため、以後、基地局が接続するネットワークの例として次の図で表されるような例を用いる。この図におけるIPアドレスは現実にない使われ方をしている。基地局は左のネットワークにおいて接続されている。図の詳細については設定の各所において述べる。 INTERNET INTERNET | | | | +------+------+ +--------------+ |Defalt Router| |Default Router| +------+------+ +------+-------+ |133.69.153.1  | | -+-----+---------- 133.69.153/24 | |133.69.130.10 ------+------+------------+--- |2001:248:1fc0:402::1 |133.69.153.3 | |2001:248:1fc0:400::3 | +-----+------+ +--+----------+ |Base Station|- - - - - - - - - |Tunnel Server| +----------+-+ Tunnel +-------------+ | IPv6 over IPv4 | 133.69.153.48/30 | - - - - -+- - - - +- - - - + | | | +------+ +------+ +------+ |Client| |Client| |Client| +------+ +------+ +------+ 133.69.153.48 133.69.153.49 133.69.153.50 133.69.153.51 2.1.2 基地局の初期設定  基地局は初期の状態で、注意すべきことは基地局のIPアドレスとマウントの状態についてである。IPv4のアドレス172.30.100.2(netmask 255.255.255.0)が有線側(10BASE-T)に付けられている。また起動時にtelnetdが立ち上がるため、これを利用してloginができる。loginできるIDとpasswordは次のものが設定されている。 login:rgw Password:rgw ルートのパスワードは、rootである。suをすると次のようになる。 rgw% su Password:root #  マウントの初期状態は次のようになっている。 rgw% mount /dev/wd0a on / type ffs (local, read-only) /dev/wd0e on /mntetc type ffs (local, read-only) /dev/wd0h on /var type ffs (local)  設定ファイルは/etcにあり、/mntは/mntetcへのシンボリックリンクなので、/mntetcをアンマウントすれば書き込めるようになる。 # mount -u /mntetc # mount /dev/wd0a on / type ffs (local, read-only) /dev/wd0e on /mntetc type ffs (local) /dev/wd0h on /var type ffs (local) /etc以下のファイルを書き換えた後はsyncが必要である。これを怠ると基地局が動作しなくなった例が報告されている。アンマウントされた/mntetcはリブートすれば再びマウントされる。 # sync # sync # sync # reboot 2.1.3 アドレスの準備  IPv4に接続する基地局は、トンネリングによって接続するIPv6のネットワーク管理者から/64のIPv6のグローバルアドレスをひとつ貰わなければならない。また、基地局ルータがつながるIPv4のネットワークにもひとつグローバルアドレスが必要である。さらに、IPv4への接続をクライアントの提供する基地局ルータは、同時に接続するクライアントの数だけIPv4のグローバルアドレスを必要とする。このアドレスは、ひとつのセグメントからとるのが望ましいが、基地局と同じセグメントとることもできる。 IPv6のグローバルアドレス x1(基地局ルータ用,必須) IPv6のグローバルアドレス 0(クライアント用,不要) IPv4のグローバルアドレス x1 (基地局ルータ用,必須) IPv4のグローバルアドレス xn (クライアント用,任意) n:基地局ルータに同時に接続するクライアントの数  アドレスの準備は、具体例では次のようになされている。 IPv6のグローバルアドレス 2001:1fc0:400::4/64(基地局ルータ用,必須) IPv4のグローバルアドレス 133.69.153.3 (基地局ルータ用,必須) IPv4のグローバルアドレス 133.69.153.48/30 (クライアント用,任意) 2.1.4 経路制御の設定  経路制御の設定では、基地局ルータとクライアントのIPアドレス宛てのパケットがそれぞれ正しくルーティングされるようにする。動的な経路制御を行う方法として、基地局ルータのrouteとroute6dによるRIPとRIPngが可能である。routeとroute6dのそれぞれの詳しい使い方はそれぞれのマニュアルを参照すること。ここではトンネルサーバと基地局ルータ間でIPv6 over IPv4トンネルを張り、IPv4のインターネットに接続した基地局ルータがIPv6を使えるようになることを前提とし、基地局ルータがIPv4とIPv6で動的な経路制御を行える設定を説明する。 まずIPv4の動的な経路制御はroutedを用いてRIPで行える。それには次のような行を/etc/rc.confに加えると良い。ここでは具体例に沿って説明すべく、クライアント用のセグメント133.69.153.48/30を基地局ルータがRIPで流すようにしてある。 routed=YES routed_flags="-F 133.69.153.48/30" これらをrc.confに設定すれば起動時にroutedが立ち上がる。これを手動で行うには次のようにすれば良いが、この場合だと起動する度にroutedを手作業で実行させる必要がある。 routed -F 133.69.153.48/30 & これ以上の詳しいことはroutedのマニュアルを参照すること。  次にIPv6の動的な経路制御は、route6dを用いてRIPngで行える。それには次のような行を/etc/rc.confに加えると良い。ここでは具体例に沿って説明すべく、トンネル用インターフェースgif0に向けて、自らが請け負うprefixの経路情報を基地局ルータがRIPngで流すようにしている。また基地局ルータの有線側インターフェースne0はIPv4のネットワークなのでIPv6の経路情報を流す必要はない。よってne0に経路情報は流さないようにしている。 ip6mode=router route6d=YES route6d_flags="-N ne0 -A 2001:248:1fc0:400::/64,gif0,lo0" rtadvd=NO rtadvd_flags="" これらをrc.confに設定すれば起動時にroute6dが立ち上がる。これを手動で行うには次のようにすれば良いが、この場合だと起動する度にroute6dを手作業で実行させる必要がある route6d -N ne0 -A 2001:248:1fc0:400::/56,gif0,lo0 これ以上の詳しいことはroute6dのマニュアルを参照すること。 2.1.5 基地局用IPアドレスの設定  基地局ルータのIPアドレスは有線側(ne0)につける。この設定は/etc/ifconfig.ne0に書く。具体例を用いれば次のようになる。 # vi cat /etc/ifconfig.ne0 inet 133.5.22.138 netmask 255.255.255.0 inet6 2001:248:1fc0:400:400::1 prefixlen 64 手動でつけるアドレスを場合は次のようにifconigをたたく。 # ifconfig ne0 inet 133.5.22.138 netmask 255.255.255.0 # ifconfig ne0 inet6 2001:248:1fc0:400:400::1 prefixlen 64 2.1.6 トンネルの設定 トンネルの張り方を具体例をもとに説明する。今、具体例の図のように基地局ルータのIPアドレスが133.69.153.3で、トンネルサーバのIPアドレスが133.69.130.10であるとする。またトンネルサーバのIPv6のアドレスはである。次の一行を/etc/ifconfig.gif0に書くことでトンネルをはることができる。 tunnel 133.69.153.3 133.69.130.10 デフォルトルートは、トンネルサーバである133.69.130.10側のIPv6アドレスを用いる。これはrc.conf中に次の一行を加えるか、もしくは起動ごとに次の一行をコマンドとして打てばよい。 route add -inet6 default 2001:248:1fc0:402::1 トンネルサーバは基本的にルータであるので、次の行を/etc/rc.confに加えてルータとして基地局を動作させる。トンネルが張れたかどうかは次のコマンドをたたいて、パケットが相手側に到達するか確認する。 ping6 2001:248:1fc0:402::1 2.1.7 MISとLIN6の設定  基地局ルータにMISの設定として必要なものは、認証サーバのIPアドレスとと認証サーバと共有するパスワードである。このパスワードにより、基地局ルータは、ある一定の間隔で認証サーバと認証を行い、不正なクライアントがインターネットに接続できないようにしている。その設定方法は次の通りである。 cat /etc/mis/servers DEFAULT 133.69.130.10 mis DEFAULT 2001:248:1fc0:200:290:27ff:fe1f:6bb mis  この設定では、認証サーバのアドレスが133.69.130.10と2001:248:1fc0:200:290:27ff:fe1f:6bbであり、認証サーバとこの設定が書かれている基地局ルータ間で共有するパスワードは"mis"となっている。これは本実験の基地局すべてに共通するものであり、もし/etc/mis/serversの中身が上記の例と一致しなければ訂正する必要がある。ところで、認証サーバ側にも基地局ルータのIPアドレスと共有するパスワードが必要なため、基地局ルータ用のIPアドレスはIPv4とIPv6の両方を必ず朝長に報告していただきたい。  また基地局の動作の設定は、/etc/mis/startbr.shで行う。これをもとに基地局ルータで動作するのは/usr/sbin/misbrdで、このmisbrdが認証サーバとの認証やクライアントへのアドレス貸し出しなどを行う。以下、[EOF]までが具体例に沿った/etc/mis/startbr.shの中身である。 channel=1 logfile=/var/log/mislog #---------------------------------------------------------------- MISBRD_BEACON_IFNAME=mis0 MISBRD_BEACON_INTERVAL=32ms MISBRD_BEACON_CHANNEL=$channel MISBRD_BEACON_IPV4FILTER=0 MISBRD_BEACON_LATITUDE=0x12345678 MISBRD_BEACON_LONGITUDE=0x98765432 MISBRD_BEACON_ALTITUDE=1000 MISBRD_BEACON_HEIGHT=100 MISBRD_BEACON_BRGROUPS="ALL MIS LIN6" #MISBRD_BEACON_BRGROUPS="ALL MIS 123" MISBRD_BEACON_BBTYPE=0 MISBRD_BEACON_BBSPEEDU=1535 MISBRD_BEACON_BBSPEEDD=1536 #---------------------------------------------------------------- MISBRD_SECTYPE_NULL=YES MISBRD_SECTYPE_AES=YES MISBRD_SECTYPE_MD5=YES #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PHY_IFNAME=wi0 MISBRD_MISIF_IFNAMES='mis0 mis1 mis2 mis3 mis4 mis5 mis6 mis7 mis8 mis9 mis10 mis11 mis12 mis13 mis14 mis15 mis16' #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PROVIDE_IPV4=YES MISBRD_IPV4_MYADDR=133.69.153.3 MISBRD_IPV4_POOLADDRS=' 133.69.153.48 133.69.153.49 133.69.153.50 133.69.153.51 ' #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PROVIDE_LIN6=YES MISBRD_IPV6_MYADDR=2001:1fc0:400::4 MISBRD_LIN6_MYID="::4" MISBRD_LIN6_LOCATORS="2001:1fc0:400" #---------------------------------------------------------------- MISAUTH_SERVERS="/etc/mis/servers" #---------------------------------------------------------------- # binary pathnames # ifconfig=ifconfig wiconfig=wiconfig misbrd=misbrd ################################################################# ## DONT TOUCH BELOW ## export MISAUTH_SERVERS MISAUTH_COMPLEMENT_DOMAIN export `set | sed -ne '/^MISBRD_/s/=.*$//p'` #printenv | grep ^MISBRD_ | sort > $logfile $wiconfig wi0 -p 3 -f $channel $ifconfig wi0 up #$misbrd > $logfile 2>&1 & $misbrd [EOF] このmisbrd.shの各行のうち、変更すべき項目を挙げて説明する。 channel=1 この行では、基地局ルータが用いる2.4GHz帯の電波のうち、どのチャンネルを用いるかを設定する。チャンネルは1から14まであり、近隣の基地局ルータがある場合、その基地局ルータが使うチャンネルとは異なるものを選ぶ必要がある。 MISBRD_MISIF_IFNAMES='mis0 mis1 mis2 mis3 mis4' この行では、クライアント用インターフェースmisの指定する。このインターフェースの数は、この設定を行う基地局ルータに同時につながるクライアントの数+1である。クライアントの数より1つ多いのは、最後の1つを、最大数クライアントがつながっているとき、新たに接続してくるクライアントに基地局ルータが満席である旨を伝えるためである。 MISBRD_PROVIDE_IPV4=YES この行は、基地局ルータがクライアントにIPv4のインターネット接続を提供するか否かを決める。現時点ではバグが報告されているため、必ずYESを選ぶ必要がある。 MISBRD_IPV4_MYADDR=133.69.153.3 この行は、基地局ルータのIPv4アドレスを設定する項目である。 MISBRD_IPV4_POOLADDRS=' 133.69.153.48 133.69.153.49 133.69.153.50 133.69.153.51 ' この行は、どのようなアドレスをクライアントに貸し与えるかを設定している。この場合、133,69.153.48/30がクライアント用セグメントなので、この中のアドレスを書く。ところで、この項目はMISBRD_PROVIDE_IPV4のバグに関連するため、どのような基地局ルータもここに適当なIPv4アドレスを書く必要がある。もし、クライアント用IPv4アドレスと基地局ルータのIPv4アドレスのセグメントが同じ場合、次のスクリプトを/etc/mis/startbr.shに加えると良い。 for ip in $MISBRD_IPV4_POOLADDRS do mac=`ifconfig ne0 | sed -n -e 's/address: \([0-9a-z:]*\).*/\1/p'` if arp $ip >/dev/null; then : OK else arp -s $ip $mac pub fi done MISBRD_PROVIDE_LIN6=YES 、基地局ルータがクライアントにIPv6のインターネット接続を提供するか否かを決める。 MISBRD_IPV6_MYADDR=2001:1fc0:400::4 この行は、基地局ルータのIPv6アドレスを設定する項目である。 MISBRD_LIN6_MYID="::4" この行は、LIN6においてlin6idと呼ばれる、基地局ルータのIPv6アドレス下位64bitを設定する項目である。 MISBRD_LIN6_LOCATORS="2001:1fc0:400" この行は、LIN6においてロケータと呼ばれる、基地局ルータのIPv6アドレス上位64bitを設定する項目である。 2.2.1 IPv6を用いたインターネットで基地局ルータを動作させる場合  本節では、IPv6を用いたインターネットに基地局ルータを接続する場合の設定について述べる。ここでの設定は、QGPOPによるTAO IPv6モバイル実験のためのものであり、この設定うち、基地局ルータが接続するネットワークに関するところを変更すれば。QGPOPによるTAO IPv6実験の基地局ルータとして基地局が動作できる。  説明の便宜のため、以後、基地局が接続するネットワークの例として次の図で表されるような例を用いる。この図におけるIPアドレスは現実にない使われ方をしている。基地局は左のネットワークにおいて接続されている。図の詳細については設定の各所において述べる。 INTERNET | | +------+------+ |Defalt Router| +------+------+ |2001:248:1fc0:200::2 | | -------------+------------+--- |2001:248:1fc0:400::3 | +-----+------+ |Base Station| +----------+-+ | | | - - - - -+- - - - +- - - - + | | | +------+ +------+ +------+ |Client| |Client| |Client| +------+ +------+ +------+ 2.1.2 基地局の初期設定  基地局は初期の状態で、注意すべきことは基地局のIPアドレスとマウントの状態についてである。IPv4のアドレス172.30.100.2(netmask 255.255.255.0)が有線側(10BASE-T)に付けられている。また起動時にtelnetdが立ち上がるため、これを利用してloginができる。loginできるIDとpasswordは次のものが設定されている。 login:rgw Password:rgw ルートのパスワードは、rootである。suをすると次のようになる。 rgw% su Password:root #  マウントの初期状態は次のようになっている。 rgw% mount /dev/wd0a on / type ffs (local, read-only) /dev/wd0e on /mntetc type ffs (local, read-only) /dev/wd0h on /var type ffs (local)  設定ファイルは/etcにあり、/mntは/mntetcへのシンボリックリンクなので、/mntetcをアンマウントすれば書き込めるようになる。 # mount -u /mntetc # mount /dev/wd0a on / type ffs (local, read-only) /dev/wd0e on /mntetc type ffs (local) /dev/wd0h on /var type ffs (local) /etc以下のファイルを書き換えた後はsyncが必要である。これを怠ると基地局が動作しなくなった例が報告されている。アンマウントされた/mntetcはリブートすれば再びマウントされる。 # sync # sync # sync # reboot 2.1.3 アドレスの準備  IPv6に接続する基地局は、接続するIPv6のネットワーク管理者から/64のIPv6のグローバルアドレスをひとつ貰わなければならない。 IPv6のグローバルアドレス x1(基地局ルータ用,必須) IPv6のグローバルアドレス 0(クライアント用,不要)  アドレスの準備は、具体例では次のようになされている。 IPv6のグローバルアドレス 2001:1fc0:400::4/64(基地局ルータ用,必須) 2.1.4 経路制御の設定  経路制御の設定では、基地局ルータとクライアントのIPアドレス宛てのパケットがそれぞれ正しくルーティングされるようにする。動的な経路制御を行う方法として、基地局ルータのroute6dによるRIPngが可能である。route6dの詳しい使い方はマニュアルを参照すること。ここでは具体例に沿って、基地局ルータがIPv6で動的な経路制御を行える設定を説明する。  IPv6の動的な経路制御は、route6dを用いてRIPngで行える。それには次のような行を/etc/rc.confに加えると良い。ここでは具体例に沿って説明すべく、トンネル用インターフェースgif0に向けて、自らが請け負うprefixの経路情報を基地局ルータがRIPngで流すようにしている。また基地局ルータの有線側インターフェースne0はIPv4のネットワークなのでIPv6の経路情報を流す必要はない。よってne0に経路情報は流さないようにしている。 ip6mode=router route6d=YES route6d_flags="-N ne0 -A 2001:248:1fc0:400::/64,gif0,lo0" rtadvd=NO rtadvd_flags="" これらをrc.confに設定すれば起動時にroute6dが立ち上がる。これを手動で行うには次のようにすれば良いが、この場合だと起動する度にroute6dを手作業で実行させる必要がある route6d -N ne0 -A 2001:248:1fc0:400::/64,gif0,lo0 これ以上の詳しいことはroute6dのマニュアルを参照すること。 2.1.5 基地局用IPアドレスの設定  基地局ルータのIPアドレスは有線側(ne0)につける。この設定は/etc/ifconfig.ne0に書く。具体例を用いれば次のようになる。 # vi cat /etc/ifconfig.ne0 inet6 2001:248:1fc0:400:400::1 prefixlen 64 手動でつけるアドレスを場合は次のようにifconigをたたく。 # ifconfig ne0 inet6 2001:248:1fc0:400:400::1 prefixlen 64 デフォルトルートはrc.conf中に次の一行を加えるか、もしくは起動ごとに次の一行をコマンドとして打てばよい。 route add -inet6 default 2001:248:1fc0:402::1 2.1.7 MISとLIN6の設定  基地局ルータにMISの設定として必要なものは、認証サーバのIPアドレスとと認証サーバと共有するパスワードである。このパスワードにより、基地局ルータは、ある一定の間隔で認証サーバと認証を行い、不正なクライアントがインターネットに接続できないようにしている。その設定方法は次の通りである。 cat /etc/mis/servers DEFAULT 133.69.130.10 mis DEFAULT 2001:248:1fc0:200:290:27ff:fe1f:6bb mis  この設定では、認証サーバのアドレスが133.69.130.10と2001:248:1fc0:200:290:27ff:fe1f:6bbであり、認証サーバとこの設定が書かれている基地局ルータ間で共有するパスワードは"mis"となっている。これは本実験の基地局すべてに共通するものであり、もし/etc/mis/serversの中身が上記の例と一致しなければ訂正する必要がある。ここでIPv4が書いてあるが、IPv6のインターネットに基地局ルータを接続しても問題はない。ところで、認証サーバ側にも基地局ルータのIPアドレスと共有するパスワードが必要なため、基地局ルータ用のIPアドレスはIPv4とIPv6の両方を必ず朝長に報告していただきたい。  また基地局の動作の設定は、/etc/mis/startbr.shで行う。これをもとに基地局ルータで動作するのは/usr/sbin/misbrdで、このmisbrdが認証サーバとの認証やクライアントへのアドレス貸し出しなどを行う。以下、[EOF]までが具体例に沿った/etc/mis/startbr.shの中身である。 channel=1 logfile=/var/log/mislog #---------------------------------------------------------------- MISBRD_BEACON_IFNAME=mis0 MISBRD_BEACON_INTERVAL=32ms MISBRD_BEACON_CHANNEL=$channel MISBRD_BEACON_IPV4FILTER=0 MISBRD_BEACON_LATITUDE=0x12345678 MISBRD_BEACON_LONGITUDE=0x98765432 MISBRD_BEACON_ALTITUDE=1000 MISBRD_BEACON_HEIGHT=100 MISBRD_BEACON_BRGROUPS="ALL MIS LIN6" #MISBRD_BEACON_BRGROUPS="ALL MIS 123" MISBRD_BEACON_BBTYPE=0 MISBRD_BEACON_BBSPEEDU=1535 MISBRD_BEACON_BBSPEEDD=1536 #---------------------------------------------------------------- MISBRD_SECTYPE_NULL=YES MISBRD_SECTYPE_AES=YES MISBRD_SECTYPE_MD5=YES #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PHY_IFNAME=wi0 MISBRD_MISIF_IFNAMES='mis0 mis1 mis2 mis3 mis4 mis5 mis6 mis7 mis8 mis9 mis10 mis11 mis12 mis13 mis14 mis15 mis16' #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PROVIDE_IPV4=YES MISBRD_IPV4_MYADDR=192.69.153.3 MISBRD_IPV4_POOLADDRS=' 192.69.153.48 ' #---------------------------------------------------------------- MISBRD_PROVIDE_LIN6=YES MISBRD_IPV6_MYADDR=2001:1fc0:400::4 MISBRD_LIN6_MYID="::4" MISBRD_LIN6_LOCATORS="2001:1fc0:400" #---------------------------------------------------------------- MISAUTH_SERVERS="/etc/mis/servers" #---------------------------------------------------------------- # binary pathnames # ifconfig=ifconfig wiconfig=wiconfig misbrd=misbrd ################################################################# ## DONT TOUCH BELOW ## export MISAUTH_SERVERS MISAUTH_COMPLEMENT_DOMAIN export `set | sed -ne '/^MISBRD_/s/=.*$//p'` #printenv | grep ^MISBRD_ | sort > $logfile $wiconfig wi0 -p 3 -f $channel $ifconfig wi0 up #$misbrd > $logfile 2>&1 & $misbrd [EOF] このmisbrd.shの各行のうち、変更すべき項目を挙げて説明する。 channel=1 この行では、基地局ルータが用いる2.4GHz帯の電波のうち、どのチャンネルを用いるかを設定する。チャンネルは1から14まであり、近隣の基地局ルータがある場合、その基地局ルータが使うチャンネルとは異なるものを選ぶ必要がある。 MISBRD_MISIF_IFNAMES='mis0 mis1 mis2 mis3 mis4' この行では、クライアント用インターフェースmisの指定する。このインターフェースの数は、この設定を行う基地局ルータに同時につながるクライアントの数+1である。クライアントの数より1つ多いのは、最後の1つを、最大数クライアントがつながっているとき、新たに接続してくるクライアントに基地局ルータが満席である旨を伝えるためである。 MISBRD_PROVIDE_IPV4=YES この行は、基地局ルータがクライアントにIPv4のインターネット接続を提供するか否かを決める。現時点ではバグが報告されているため、必ずYESを選ぶ必要がある。 MISBRD_IPV4_MYADDR=192.69.153.3 この行は、基地局ルータのIPv4アドレスを設定する項目である。MISBRD_PROVIDE_IPV4=YESのバグにより適当なアドレスを振る必要がある。 MISBRD_IPV4_POOLADDRS=' 192.69.153.48 ' この行は、どのようなアドレスをクライアントに貸し与えるかを設定している。。MISBRD_PROVIDE_IPV4=YESのバグにより適当なアドレスを振る必要がある。 MISBRD_PROVIDE_LIN6=YES 、基地局ルータがクライアントにIPv6のインターネット接続を提供するか否かを決める。 MISBRD_IPV6_MYADDR=2001:1fc0:400::4 この行は、基地局ルータのIPv6アドレスを設定する項目である。 MISBRD_LIN6_MYID="::4" この行は、LIN6においてlin6idと呼ばれる、基地局ルータのIPv6アドレス下位64bitを設定する項目である。 MISBRD_LIN6_LOCATORS="2001:1fc0:400" この行は、LIN6においてロケータと呼ばれる、基地局ルータのIPv6アドレス上位64bitを設定する項目である。